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家庭用ゲーム(コンシューマ)、ソーシャルゲーム(ネイティブアプリ/サーバー)の開発会社


私が独学でゲーム会社へ入るまで(4)

文責:nitro

私が独学でゲーム会社へ入るまで(4)

・勉強会へ参加する
 虎を仕上げた直後、とあるゲーム会社の採用募集に添付してお祈りが返って来た後の話です。
プログラマとして働くなら避けて通れないという触れ込みの『コード・コンプリート』が難解で、それもそのはず、私にとってまだ踏み込んでいない様な難しい場面で取るべき方法論を扱っているので実感がありません。
そんな時、偶然にもこの本を教材として扱う勉強会の告知が目に留まりました。
この手の催しは初めてでしたが日程もちょうどよく、ゲーム会社の社長が主催している体なので面白そうな話が聞けそうな淡い期待で望みました。
当日はゲームの専門学校生に囲まれるもぐりの絵を想像していましたがそういう訳でもなく、既に業務に携わっている社会人がさらに磨くために勉強会へ参加している感じでした。
覚えている範囲で、携帯端末向けのコンテンツ製作、片手間の輸入業者、公機関向けのシステム運用、この人が体壊したらその会社回らなくなる気がしてならないワンマンSE等、本の読み合わせよりも雑談から飛び出るエピソードのインパクトが大きく、収穫も大きかったです。
私自ら発言する機会は少ないままでしたが、話の流れでゲーム会社に就職したい旨を漏らしたところ社長からアドバイスが貰えるとことになり、本読み初日が無事終わり、同会場は面接室と化していました。
社長からは、独学の方向性は間違っていなかったこと、技術的には期待していないこと、この業界で独学は珍獣枠だということ、応募の意思があるなら参考作品を用意する必要があること等を伝えられました。
その時の課題が『WindowsAPI + DirectX 上で動くパックマンの完全コピーを1ヶ月で作る』というものです。
結論から言うと、電話口で伝えられた評は『非常に厳しい』で、見せていただいたコードレビューも冒頭の定型文以外はネガティブな表現に終始しています。
最低限動くようにはなりましたが、敵は1体、効果音なし、プレイヤーのアニメーションなし、課題を与えられて2週間経ったときに「来週持ってきて」となって心のゆとりなし、等が重なったので、こうして記事のネタに困らない限りは深く埋めておきたい代物です。
ちなみに完全移植に限るなら、昔のパックマンの基盤からデータを吸い出して逆アセンブル、がプロソフト式とのことで一瞬意味が分からなくなりました。

・その後
 おおかた合格ラインを下回っていたとは思いますが、ちょうど人手の足りないタイミングだったので仮採用へ至ります。
プロソフトの新人教育では、まず失敗しても怪我の少ない仕事を新人へ割り振ってみて、元々それを担当している先輩社員の仕事が逆に増えなければセーフ、という流れだったので、会社内のお作法はその都度教えてもらえますが本人のスキルアップは自前です。
私の場合は複数人での作業経験がなかったので連絡・報告・相談を覚えるところから始まり、それに伴う体調管理の大切さを学び、まるで遠心脱水機の中へ放り込まれたようなプレッシャーが半年ほど続いて正社員になりました。
とにかく入社前とは比べ物にならないほど濃い時間だったので、これなくして今の私はありませんが、もう一回やるかと問われれば全力でお断りしたい、そんな半年間でした。

・最後に
 ここまで私の独学中のエピソードを扱いましたが、プログラミングの勉強を始めてから入社まで2年半掛かり、入社してからこの文章を書くまでに同じくらいの時間が過ぎています。
当時の記憶を頼りに反省文を練るのはとても有意義且つ今後のスタンスを考えるきっかけにもなり、ブログへポストされた自分の原稿を見に行きたくないという気持ちも高まりました。
あわよくば、私にとっては神秘に等しいゲーム専門学校について、まとまった話を書いてくれる誰かが現れることを願います。
(おしまい)